アンデスクイーンを追いかけて~ブリーダーズゴールドカップ編~
名鉄杯でまさに"激闘"を繰り広げたアンデスクイーン。ハッキリ言って「牝馬とは…!?」と思わされるほどに男勝りな激走でした。
そんなところがたまらなく魅力的なアンデスクイーンですが、レース後は相当消耗しただろうな…という心配も浮かびました。
数日後にはグリーンファームのHPが更新され、レース後の様子について、西園正都調教師のコメントが出ていました。
レース後も脚元などに問題は無く、元気にしてくれています。目一杯の競馬の後ですが、大きな疲れも無いようで、この馬の体力と気力には本当に頭の下がる思いです。
…タフすぎる!身も心も。
競馬ファンになって日は浅いながらも、馬の故障や怪我のニュースは何度も目にしていました。特に脚元についてはこんなにも脆いものなのか…という怖さも知りました。そしてその時はいつも"突然"です。
なので、この頃から"元気にしている"という一報を目にする度に安堵し、タフなアンデスクイーンに対して「最後まで元気な姿を応援させてね」と祈るような気持ちも抱くようになりました。
そして、アンデスクイーンの次走が決まりました。
北海道の門別競馬場で行われるブリーダーズゴールドカップは、念願の牝馬交流重賞レースです!
これが発表されたのが7月28日。
そして、レースは8月15日。
一刻も早く飛行機&宿を取らなければ…!と慌てて探しましたが、お盆時期であることと週末のライジングサンにも重なり、当然の如く遠征費用はビッグバン状態でした。
しかし、ブリリアントS→スレイプニルS→名鉄杯と牡馬相手の果敢な走りを見てきて…
「どうしても行きたい…」
脳内会議の結果「行くべき」が圧倒的多票数で可決されました。
門別競馬場へのアクセスを要確認!
北海道出身ではあるものの、競馬場は2006年で閉鎖された地元の「北見競馬場(ばんえい)」にしか行ったことがなかった私。
今回は札幌駅近くのホテルを拠点にして行動することになるので、アクセスを調べてみると…
・JR:札幌駅から苫小牧経由で富川駅まで約2時間40分
・路線バス:札幌駅前ターミナルから門別競馬場前まで高速バス乗車約1時間30分
・札幌から車で約1時間10分
札幌からはなかなかの遠さなのです。
(JRは本数もないので本当に非現実的です)
門別競馬場のサイトには、ペーパードライバーを極めている私にとって嬉しいことに【無料送迎バス】が出ていることが書いてありました。
だけど、このバス。
小さく書いてありますが電話での【完全予約制】なので要注意!
(バスの台数も決まっているそうです)
開催の2週間前には電話しましたが、この時で既に整理番号は90番台でした。
そして門別競馬場に到着!
何やら台風が接近している北海道でしたが、この日は何とか免れることができて、曇り時々晴れ…という天候で持ちこたえました!
アンデスクイーンが出るブリーダーズゴールドカップは、当日のメインレース(11レース目)です。
1レース目のパドックが始まる前には競馬場に到着していたので、時間はた~っぷりありました。
さてどうしよう…まずは馬券を購入!
地方競馬が主催するレースの馬券を買うと、このようにジョッキーの名前も印字されるのです!(JRAだと馬の名前のみ)
「いよいよこの日が来たんだなぁ~」
買った馬券を眺めているとわくわくしてきました。
そして、競馬場グルメもすごい。
パドックに程近い、芝生の"とねっこ広場"では本格的なジンギスカンをすることができます。(私は一人で行ったのでやめておきましたが…TT)
自然が多く家族連れがジンギスカンを楽しんでいる姿もたくさん見られて、ここは本当に競馬場?と思ってしまうほどの長閑さです。
私が感動したのは…
この「炭火焼き鳥むぅちゃん」の焼き鳥です。とねっこ広場に出店されていました。
外で食べるこの焼き鳥がほんっっとうに美味しくて…2本じゃ物足りず、買い足してまで食べてしまいました。
焼き鳥好きを自負する方々…死ぬまでに必ずこの焼き鳥をご賞味ください!(本当にそれほど美味しかったのです!)
ひたすら食べて飲み…ちょっと馬券を買ってみたり…一人で来てもなかなか満喫できました。
いよいよブリーダーズゴールドカップが始まる…!
やがてどんどん陽も落ちてきて…
とうとうブリーダーズゴールドカップのパドック待ちの時間になりました。
アンデスクイーンは普段は滋賀県の栗東トレーニングセンターに在厩しています。
今回はそこからの長距離輸送を経て北海道までやって来ました。
ストレスを感じやすかったり繊細な性格の馬の場合は、この長距離輸送中に体力を消耗して、体調を崩したり馬体重を大幅に減らしてしまったり…という懸念がつきまといます。
アンデスの戦績を見てみると、北海道までの輸送は今回が初めてでした。
だけどそんな心配も…
一瞬で吹き飛ぶような、元気いっぱいのピカピカな姿で登場!
気になる馬体重はなんと…減るどころかプラス6kgの508kgです。
いっぱいに気合の入った歩き方。
いつもと変わらないアンデスクイーンです!
「本当に強い心を持っている子なんだなぁ…」
アンデスは強靭な馬体にも恵まれていますが、いつも最後まで一生懸命で、あきらめることを知らない走りは、この心の強さからも来ているのだろう。。
パドックでその姿を目で追いながら、そんなことを考えたりもしました。
パドックが始まる前の時点での人気は、プリンシアコメータ、ラインカリーナに次ぐ3番人気でした。
それがパドック中には2番人気に上昇していました。
実際に周囲の人たちの会話に耳をすませていると(←すませるな)
「戸崎の馬、ピカピカだなぁ~」
「アンデスクイーン、デカイな~!」
「堂々としてていいね」
などなどかなり好評価な様子!
ついこの間ファンになった分際の私ですが、アンデスのことを褒める会話が聞こえてくるたびに嬉しく、図々しくも誇らしい気持ちになっていました。
そして、いざ出陣…!
今回のメンバーは、黒い馬体にナイター照明が反射してつやつやで迫力満点だったプリンシアコメータ、6月の関東オークスで逃げ切り勝ちを収め勢いのあるラインカリーナ。
…当たり前ですが相手も強い!
アンデスクイーンの勝利を信じてここまで遠征してきましたが、いざレースとなると極限の緊張感からドキドキが止まらず…返し馬の姿を見送ってからゴールするまでの間の記憶は、振り返ると正直曖昧だったりします。
20時ちょうど、いよいよその時が訪れました。
アンデスクイーンは大外枠の11番なので、ゲートインも一番最後です。
スタート直後、勢いよくラインカリーナが逃げます。それをマークするようについていくプリンシアコメータ。
名鉄杯ほどではないですが、馬場状態は前々日からの雨の水分がまだ残っている【稍重(ややおも)】 でした。
なので今回もなるべく前目につける作戦の競馬のようです!
名鉄杯のように前の2頭が大きく抜け出す展開ではありません。
アンデスクイーンは、3コーナーからその差をじわじわと詰めつつ…絶好の位置取りで運命の4コーナーへ!
もうこの段階で「今日こそ勝てる!」そんな予感があふれて鳥肌が立ちました。
しかし、ラインカリーナ・プリンシアコメータもそう簡単には先頭を譲ってはくれません。
残り200mを通過した時には、ラインカリーナ・プリンシアコメータ・クイーンマンボ、そしてアンデスクイーンの4頭に勝者が絞られる形になりました。
見ていてさらに興奮で鳥肌が立ったのが、戸崎ジョッキーの魂のこもった追い込み!
それに呼応するかように、前に前に、持てる力の全てを振り絞ろうとしているアンデス。
ついに…
ラインカリーナ・プリンシアコメータに並んだ!
目の前でド迫力の追い比べが繰り広げられ、自分でもわかるくらいに足元からガクガクと震えだしました。
そんな次の瞬間に…
頭一つ抜け出したのはアンデスクイーン!
「アンデスがんばれーーーー(絶叫)」
そしてそのままゴール板を駆け抜けた…!
「アンデスが勝った…!」
場内のモニターに大写しになったのは、もちろんアンデスクイーンと戸崎ジョッキーのコンビ!
それはまさに"勝利の証"でした。
誰も知りたくない情報だと思うのですが、その瞬間の私と言えば…手元から足元までとにかくガクガクと震えが止まらない。
しゃ…写真を撮ろう…と思いつくも、カメラを構える手がとにかく震えます。人間って物理的な寒さ以外でもこんなに震えられるんだ…そう思いました。
さらに、感動・感激のあまり涙も止まらず、その容貌は完全に何かの中毒者と化していたことでしょう。
しばらくすると、アンデスクイーンの優勝を記念する口取りが始まりました!
【優勝】と書かれたレイをかけたアンデスを見て、一旦引っ込んだかのように思われた涙がまたしても出てきます。
おめでとう…おめでとう…
ひたすら心の中でそう唱えていました。
(もしかしたら口にも出てしまっていたかもしれません)
今日本当にここに来ることができて良かったなぁ…
今年競馬を知ることができて、
初めて"追いかけたい"と思った馬がアンデスクイーンで良かった…
何より、アンデスの頑張りが報われて良かった!
私にとって一生忘れることのない、
一生の宝物になる、
そんな門別競馬場で過ごした一日になりました。
(今でも思い出すだけで涙が出ます…)